静岡県の川勝平太知事が4日、能登半島地震を受けて開催された北信越や東海など中部9県と名古屋市の連絡会議を欠席し、政財界の要人らが一堂に会する地元メディア主催の「新年のつどい」に参加していた。静岡県以外の県や市は知事や市長本人が出席していた。
中部9県と名古屋市は災害発生を想定した応援協定を結んでおり、物資の提供や人員の派遣などの連絡調整にあたっている。今回の会議は1日に発生した能登半島地震を受けて幹事の三重県が呼びかけ、オンラインで開催された。川勝知事は「つどい」に出席するため一時県庁を離れ、代理出席者で対応した。
会議は東日本大震災を経験した全国知事会長の村井嘉浩・宮城県知事も参加。石川県の馳浩知事が冒頭「石川県を助けてください」と訴え、出席した首長らは石川県を重点支援先とする方針を確認した。代理出席した静岡県の黒田健嗣・県危機管理監は発言を求められる場面はなかった。
川勝知事はこの会議の前に開かれた記者会見で、石川県穴水町を拠点に被災地に寄り添い、長期的に支援に取り組む方針を表明。同日の仕事始め式でも幹部職員に「ひとごとではない」と訴えたばかりだった。
県によると、知事の公務を所管する知事戦略局が「別の予定がある」として災害対応にあたる危機管理部に代理出席を要請したという。県幹部は「会議の代理出席は認められており、対応に問題はなかったと認識している」と話す。
一方、「先約」を優先した判断は今後、県議会で新たな火だねになる可能性もある。議会対応や県民の苦情対応に追われる中堅職員の一人は「自身の行動や発言にもう少し気を配ってほしい」とこぼす。
川勝知事は経済史の研究者から知事に転じて現在4期目。歯に衣(きぬ)着せぬ物言いで有権者の支持を集める一方で、その言動をめぐって物議をかもすことも少なくない。2021年の参院補選の応援演説では、対立候補が首長を務めた自治体について「コシヒカリしかない」と発言したことが問題視され、県議会が辞職勧告決議案を可決したこともある。(床並浩一)
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Source : 社会 – 朝日新聞デジタル